HANAIBOOKS  〜HANAI お薦めの子どもの本〜

このページでは、HANAIが教材で使用する本や、ぜひ子ども達に
読んで欲しい本、お父様お母様にもお読みいただきたい本を
紹介していきます。

NO.18

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はなをくんくん

ねむっていたどうぶつ
たちが目をさます
みんな はなを くんくん
そして みんなはしりだす

ルース・クラウス/文 マーク・サイモント/絵
福音館書店 ¥1000
1949年発行

の写真のように表紙は、明るい黄色にふちどられ、その真ん中でくまが微笑み、リスやねずみややまねずみが楽しげに踊る姿が描かれています。なんだか、楽しいことが始まりそうな予感のする絵です。
ところが、ページを開くと、そこには冷たい風の音まで聞こえてきそうな寒々とした景色が広がります。モノトーンで描かれた絵からは、降り積もった雪の重みや冷たさ、時折吹く風以外には物音一つしないしんとした静けさまで伝わってくるようです。その雪景色の中で、動物達は互いに身体を寄せ合い、丸くなって静かに静かに眠っています。
そして突然、動物達は目をさまします。動き出した動物達のなんといきいきしていることでしょう。目も口も無いかたつむりでさえ、そわそわうきうきしているように感じられます。
はなをくんくんさせてはしる動物達。そしてぴたりととまると、みんな「うっふっふ」と笑い出しました。雪の中に黄色い花がひとつ咲いていたのです。
ここには、「春が来た」なんて一言も書かれていませんが、モノトーンの絵の中にたった一つ鮮やかな色彩で描かれた花に、暖かな春の訪れを感じ取ることができます。
ルース・クラウスによる簡潔な文章は、もちろん素晴らしいのですが、まったく文章が無くてもいいのではないかと思ってしまうくらい、マーク・サイモントの絵は雄弁に物語を語っています。
長いつらい冬を乗り越えた後の暖かな春の訪れ。これほど純粋な喜びは無いでしょう。
けれども、暖房が行き届き顔を洗うにも暖かなお湯を使うことがごく当たり前の現代の生活では、春の訪れを、踊ってしまうほど喜ぶことはないかもしれません。
でも、この『はなをくんくん』には、冬の厳しさと春の喜びが確実にあります。
現実の生活で経験できないことでも疑似体験できるのが、文学の素晴らしさです。
ぜひ、都会育ちの子どもたちに『はなをくんくん』の世界を通じて、春の喜びを味合わせてあげてください。
『はなをくんくん』の世界で春を知ったこどもたちは、次にはきっと自分の身の回りに「春」を探し始めるに違いありません。


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素材提供:「second home