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作者のカニグズバーグは、フロリダで化学の教師をしていましたが、三人目の子どもが幼稚園に通い始めてから児童文学を書き始めました。処女作の『魔女ジェニファーと私』と二作目の『クローディアの秘密』が、ニューベリー賞を争い『クローディアの秘密』が受賞した後も、数々の素晴らしい作品を生み出しており、アメリカの代表的な児童文学作家の一人と言ってよいでしょう。
カニグズバーグは、都会に育つ現代っ子達の生活や行動、考え方、そのたくましさともろさをリアルに描き出します。
この『クローディアの秘密』の主人公クローディアは、「…ただオール5のクローディア・キンケイドでいることがいやになった…」という理由で家出を決意します。けれども、かっとなってリュック一つで飛び出すようなむかし式の家出はごめんだと考えたクローディアは、綿密な家出計画を立てます。兄弟の中でも一番お小遣いをためているジェイミーを仲間に選び、大きくて気持ちの良い美しい場所、メトロポリタン美術館に家出することにしたのです。家出生活をスタートさせた二人は、毎日きちんと下着を取り替え、自分たちで決めた勉強をし、コインランドリーで洗濯をし、展示品のベッドで眠り、食堂の噴水でおふろに入ります。やがて、ミケランジェロの作品かもしれないと騒がれている天使の像がクローディアの心を捉えます。天使の像が本当にミケランジェロの作品なのか、二人は調べることにしました。
物語の前半、二人の姉弟が、いかに大人の目をくらまし家出生活を成功させるのかということに読者は引き込まれます。そして後半は、美術館に買い取られた天使の像が本当にミケランジェロの作品なのかどうかに焦点が移っていきます。
この作品に限らず、カニグズバーグは目に見えないものにある価値を常に描こうとしている作家なのではないかと思います。
たとえばフランクワイラー夫人のこんな言葉があります。「…わたしは、何が起こったか知っています。ふたりにはいいませんでしたけれどね。なんでもかんでもことばや文章にあらわそうとするのは、あまりに近代的すぎます。とくにクローディアには、わたしは教えてやりたくありません。それでなくてもクローディアは、りくつの多い子です。」
「冒険」も「謎」も「秘密」も、思春期の少女が成長するためにはきっと必要なものなのでしょう。けれども、それは親にとっては鋭い痛みを伴うものかもしれません。クローディアの両親が「半狂乱になって」子ども達のことを心配しているにも関わらず、子ども達が一度も親の気持ちに思いをはせることなど無かったように。
『クローディアの秘密』は、思春期の少女にそっと差し出してあげたい本ですが、思春期の子どもを持つ親にもぜひ読んで欲しい本です。物語の最後にクローディアが得た目に見えないものを理解することができれば、子どもの成長を少しは余裕を持って受け止められるのではないかと思うのです。
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