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今回は中川李枝子さんの幼年童話『いやいやえん』をご紹介します。
中川李枝子さんといえば、あのベストセラー絵本『ぐりとぐら』の作者として有名です。
私は、幼いころに親戚の家の押し入れの中で、この『いやいやえん』と出会いました。夏の暑い日に、押し入れの狭いスペースにひざを抱えて座りながら読みふけった記憶があります。
『いやいやえん』は、ちゅーりっぷほいくえんに通うわんぱくな男の子しげるを主役に、子ども達の日常が描かれます。日常といっても、つみきで作った船でくじらとりにでかける話や、やまのこぐまがほいくえんにくる話やりんご、ばなな、みかん、ももが実る山にみんなでのぼる話など、子ども達の心の中で繰り広げられている世界です。大人から見ればこれはファンタジーですが、子どもにとってはきっと限りなく現実に近い身近な話なのでしょう。
作者の中川李枝子さんは、20歳から34歳まで保育園で保母として子ども達に囲まれて過ごされています。あるインタビューで中川さんは、次のように語っています。
「(前略)もう、きりがないくらいよく遊びました。遊び狂っていたみたい。子どもたちは、夢と現実がごちゃごちゃになったような、なにかになったつもりで遊んでいました。見ていると、子どもの遊びって、まさにストーリーなんです。(中略)なにかになったつもりとか、なにかがそこにあるつもりとか、大まじめでやっている。誰もおかしいとか変だなんて思わない。それが保育園の生活そのものだったんですから、ほんとうに幸せでした。」
そして、作品でなにかを伝えよう教えようとするのかと聞かれて、こう答えます。「目のまえにいる子どもを喜ばせたいという気持ちだけなんです。」(『現代児童文学作家対談 3』 神宮輝夫 偕成社 1988年)
子どもという存在を深く理解し、子ども達に対する大人の姿勢について確固たる信念をもっている作者の描く世界が子ども達に受け入れられないはずがありません。
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