HANAIBOOKS  〜HANAI お薦めの子どもの本〜

このページでは、HANAIが教材で使用する本や、ぜひ子ども達に
読んで欲しい本、お父様お母様にもお読みいただきたい本を
紹介していきます。

NO.23

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ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち 上・下

群れに迫る危機を察知した、11匹の勇敢なうさぎたちが、新天地布を求め、危険な放浪の旅にでた−(帯びより)

リチャード・アダムズ/作
神宮輝夫/訳

評論社 ¥1,800
(上下とも)
1972年発行

これは11匹のうさぎたちが、群れに迫る危機を逃れ新天地を求めて旅立ち、新しい村を作りあげるまでの物語です。
若い雄のうさぎヘイズルは、弟で予知能力を持つファイバーの「村に危険が迫っている」という言葉を信じて、数匹の若いうさぎ達とともに村を出ます。落ち着いて安全に暮らせる場所を求めて、知恵と勇気で様々な危険を乗り越えたうさぎ達は、やがてウォーターシップ・ダウンにたどりつき、ここを安住の地と決めました。けれども、11匹のうさぎは全て雄だったため、雌のうさぎを求めて新たな冒険に立ち向かわなければなりませんでした。そしてウォーターシップ・ダウンのうさぎたちは雌を求めて、独裁者による圧政が行われている隣村エフラファに向かいます。果たして彼らは無事に帰ってくることができるのでしょうか。そして、ウォーターシップ・ダウンは本当の安住の地となるのでしょうか。
作者のリチャード・アダムズは、二人の娘に語って聞かせたうさぎの物語からこの『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』を書き上げました。そして、出版された翌年イギリスの二大児童文学賞であるカーネギー賞とガーディアン賞をダブル受賞しました。児童文学として発表された『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』ですが、大人の間でも評判となり、たちまち子どもにも大人にも読まれるベストセラーとなりました。
うさぎが新天地を探して旅をしたり、独裁者が登場したり、新しい村を作ったりとまるで人間の社会のようなことを行うためでしょうか『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』は、寓意に満ちた物語のように見えます。けれども作者のアダムズは、「「たべることと生きのびることと生殖すること」だけを考えているうさぎの話を創造したのだ」と言っています。
確かに、動物を主役として描いた作品の中には、読んでいるうちにそれが動物であることをうっかり忘れそうになるものもありますが、アダムズの描くうさぎたちは、常に「うさぎ」であり続けます。主人公達がものを食べる時も、走る時も、仲間と話をする時も、眠る時も、うさぎの姿しか浮かばないのです。それは、同じイギリスの絵本作家ビアトリクス・ポターの描くピーター・ラビットが、人間の服を着て二本足で立っているにも関わらず、野生のうさぎの生態をまったく失っていないことを思い起こさせます。
『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』に描かれるのは、まぎれもない「生きるということ」です。「生きる」ためには、食べて、糞をして、結婚して、眠らなければなりません。そして「生きる」ためには、安全を求めて旅をし、敵と戦い、時には全力で逃げ、知恵を絞って相手を出し抜くことも必要なのです。うさぎたちは、懸命に生き、時に疲れきって動けなくなったりもしますが、仲間とともに眠ること、気持ちの良い夕暮れに戸外で草を食むこと、穴を掘ることに幸せを感じています。ただ生きるということ、それ以上でも以下でもないうさぎの生活がここには描かれているのです。
大人の読み方はまた違うかもしれませんが、子ども達は、物語を読みながらウォーターシップ・ダウンのうさぎ達とともに、「ただただ懸命に生きること」を疑似体験するはずです。そこから学ぶことはそれぞれ違うでしょうが、やがて人生のどこかで、知らず知らずその体験を生かす時がきっとくるのだと思います。
だから、どうか読み終わった子ども達に感想文など書かせないで欲しいと心から願います。


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素材提供:「second home