HANAIBOOKS  〜HANAI お薦めの子どもの本〜

このページでは、HANAIが教材で使用する本や、ぜひ子ども達に
読んで欲しい本、お父様お母様にもお読みいただきたい本を
紹介していきます。

NO.31

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ピーター・ラビットのおはなし

あるところに、4ひきの 小さなうさぎがいました。なまえは、フロプシーに
モプシーに
カトンテールに
ピーターといいました。

ビアトリクス・ポター/文と絵
石井桃子/訳
福音館書店 
\735
1902年

様々なキャラクター商品としてピーターラビットを見る機会は多くありますが、絵本として『ピーターラビットのおはなし』を読んだことのある子どもは思うほど多くないかもしれません。100年以上前に作られたこの絵本の素晴らしさを知らない子どもがいるなんてと思うと、なんだかいてもたってもいられない気持ちになります。  

イギリスの湖水地方にビアトリクス・ポターが住んだ農場がそのまま保存されています。もう何年も前のことですが、湖の船着場から2時間以上歩いてようやくその農場にたどり着いたとき、私はそこにピーターラビットの絵本そのままの風景を見ることができました。そのあたり一帯は、ポターの遺志によって自然を何一つ変えることなく管理保全されているそうです。今にもピーターうさぎが顔をのぞかせそうな美しい景色を見ていると、ポターがなぜあんなにも素晴らしい作品を描くことができたのか、少しだけわかるような気がしました。

作者のビアトリクス・ポターは、1866年イギリスの裕福な家庭に生まれ、『ピーターラビットのおはなし』をはじめ数々の優れた絵本を世に送り出しました。芸術的な近代絵本は、イギリスのクレーン、グリーナウェイ、コールデコットの三人によって道を切り開かれ、ポターによって確立されたと言われています。
19世紀半ばのビクトリア朝時代に生まれたビアトリクス・ポターは、その時代の裕福な家柄の娘としてはユニークでしかし力強く魅力的な生涯を過ごしました。
優れた研究をしても女性だからというだけで認められなかったり、30代半ばにして巡りあえた愛する人との結婚を両親に反対され、しかもその婚約者が若くして病死、年老いた両親の面倒を一人で見るなど様々な苦労もありましたが、ポターは、自ら作品を出版社に売り込み、絵本の成功で得た資金で農場を買い取って農場の経営に乗り出し、40代半ば過ぎて出会った人と幸せな結婚生活を送り、やがて自然環境の保護に関心を寄せ尽力するなど、自分の手で人生を切り開き力強く生きた人でもありました。

  ポターは子どもの頃から絵が上手く、動物や植物や昆虫のスケッチを数多く残しています。それらはまるで生きているように正確に描かれ、彼女の描いたキノコの絵が『キノコ図鑑』の挿絵として採用されたほどです。『ピーターラビットのおはなし』に出てくる動物達も、たとえ服を着ていてもうさぎはうさぎらしさを失うことがありません。しかも、うさぎでありながらもかれらの仕草からは様々な気持ちがいきいきと伝わってきます。また、ポターの文章はわかりやすく簡潔でユーモアに富み、物語はどこにも矛盾なく最後まで読んで子ども達が得心できるものです。そして子どもの小さな手にもちやすいサイズは、『ピーターラビットのおはなし』の特長の一つですが、これもポターがこだわって出版社に主張したものだそうです。
幸いなことに今もビアトリクス・ポターの作品はたくさん出版されていますので、いつでも読むことができます。ぜひ、子ども達に出会わせてあげてください。


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