HANAIBOOKS  〜HANAI お薦めの子どもの本〜

このページでは、HANAIが教材で使用する本や、ぜひ子ども達に
読んで欲しい本、お父様お母様にもお読みいただきたい本を
紹介していきます。

NO.33

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かさじぞう

「あやぁ、むごいことだなあ。はだかで ゆき かぶって さぞ さむかろう」と、
じいさんは、うりものの
かさを、じゅんじゅんに、
じぞうさまに かぶせると
六にんの じぞうさまなので ひとつたりない。

瀬田貞二/再話
赤羽末吉/絵
福音館書店 
\743
1961年

むかしばなし、民話といった私たちの祖先がたくさんの経験の中からつくりあげてきたおはなしの中には、厳しい生活の中で得られた生きていく上での真理がいっぱいつまっています。幼い子どもは、これらのおはなしを楽しんで聞きながら、これからの人生のどこかで出会う真理を自然に心の中に育んでいくのです。だからこそ、浅はかな考えでおはなしをねじまげた偽昔話ではない本物の昔話と出会わせてあげたいものです。

今回ご紹介する『かさじぞう』は、日本の各地に伝わる昔話の一つです。インターネットで検索してみると、何十冊ものかさじぞうの絵本が存在することがわかりました。その全てを見比べた上でお薦めする訳ではないのですが、赤羽末吉氏の絵本第一作の『かさじぞう』をご紹介します。
ご存知の方も多いと思いますが、赤羽末吉氏は日本人で初めて国際アンデルセン賞を受賞した絵本作家です。『つるにょうぼう』『スーホの白い馬』『だいくとおにろく』など数々の素晴らしい絵本を残されています。その赤羽氏が初めて手がけた絵本が、この『かさじぞう』でした。氏が50歳の時のことです。
編集者であった福音館書店の松井直氏が初めて『かさじぞう』の原画を見た時のことをこう述べています。「前略…実に雪の感じがよくでている。実に昔話の物語の世界をよくとらえている。水墨という表現と和紙の素材の白がうまく調和し、水気をたっぷり含んだ雪の感じが見事にえがき出されている。…中略…赤羽末吉という新人(?)画家の物語の読み取り方の確かさと表現の豊かさ、そして絵本を構成する力の大きさに強烈な印象をもった。」
赤羽末吉氏には日本の雪を描きたいという思いがあったそうです。22歳で渡った満州で15年余りを過ごして帰国した後、何度も冬の東北地方を旅して日本の雪景色を描いていました。『かさじぞう』を同じ雪の世界を描いているルース・クラウスの『はなをくんくん』と並べて見てみると、クラウスの雪が、さらさらとして蹴散らせばふわっと舞い散るような軽さなのに対して、赤羽末吉の描く雪は、じっとりと重く湿り気の多さを感じさせます。まさに日本の東北の雪そのものなのです。
いくつかのかさじぞうの絵本を並べて見ればよくわかるのですが、赤羽末吉の『かさじぞう』には、それだけで一つの芸術作品のような風格を感じることができます。そして、忘れてはならないのが、瀬田貞二による再話の素晴らしさです。おじいさんとおばあさんの貧しいながらも情愛あふれる生活を淡々と語り、読む者の心にさりげなく暖かな想いを抱かせます。
子ども達の本物を見る目を養うためにも、「昔話は内容が同じだからどれでもいいわ」と簡単に選ばず、少しでも質の高いものを選んであげて欲しいと思います。


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