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小人は子どもにとって永遠の友達です。ただ、小さいというだけで、軽く見られがちな子ども達は、自分たち同様小さい存在に無条件で親近感を抱くようです。
チェスの駒の土台に錠剤の入っていた木箱を取り付けたテーブル、糸まきの腰掛け、宝石箱にふかふかの詰め物をした長いす、壁紙は書き損じの手紙で、壁を飾る絵はヴィクトリア女王の肖像の切手、暖炉はリンゴ絞りについていた歯車で作られ、その上には真鍮のじょうごをさかさまに取り付けて煙の吸い込みにしています。ここは、実直なお父さんポッド、働き者のお母さんホミリー、外の世界を夢見る娘アリエッティという身長20センチ足らずの小人の一家が住む床下の家です。一度でいいからそんな家に住んでみたい、子どもたちはきっとそんな風に思うことでしょう。
ただ、メアリー・ノートンの描く小人達は、親指姫や白雪姫などの昔話に出てくる陽気で気楽な小人とは趣が異なります。彼らは、毎日せっせと働いて、一家そろって夕食を食べ、子どもが寝静まってから夫婦が相談したり、時には親子げんかをしたり、サイズが小さいという以外全てにおいて私たち人間とまったく同じ生活をしています。
細部にわたってリアルに描かれているからこそ、読む者は物語の世界に自然に入り込むことができ、読み終わった時には、自分の家にも借り暮らしの小人がいるのではないかと思ってしまうほどです。
作者のメアリー・ノートンは、1903年ロンドンに生まれ、若い頃には女優として舞台に立ったこともありました。その後、海運業を営む夫と結婚し4人の子どもに恵まれますが、夫の事業が失敗し、アメリカに渡って働くことになります。そして、副収入を得ようと考えて最初の児童文学作品『魔法のベッド南の島へ』を執筆します。魔法のベッドのシリーズが好評を得た後1952年に、ノートンは彼女の最高傑作とされるこの『床下の小人たち』を発表しカーネギー賞を受賞しました。
幼い頃から近眼だったノートンは、学校に入る以前、周囲の子ども達が遠くを眺めているときに、近くの草花や虫や小さなものたちをじっと見つめていた。その時の経験がこの小人の物語を書くことにつながったと語っているそうです。
ノートンの、身近な小さなものをつくづくと見つめる視線は、この作品の隅々にまで感じられます。描かれる小人達の生活には一つの矛盾もウソも無く、物語全体にも一本背筋が通っており、その隙の無いリアリティは、読む者を容易に空想の世界に誘います。隙が無いからこそ、子どもの心はその世界で自由に空想の翼を広げることができるのです。
ノートンは、この『床下の小人たち』を書いた後、10年かけて4作目まで発表しました。そして、4作目から21年たった1982年に5作目を発表し、31年の月日を経て小人達の冒険は完結しました。ちっぽけなそれでいて壮大な小人の物語をぜひ楽しんでください。
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