HANAIBOOKS  〜HANAI お薦めの子どもの本〜

このページでは、HANAIが教材で使用する本や、ぜひ子ども達に
読んで欲しい本、お父様お母様にもお読みいただきたい本を
紹介していきます。

NO.6

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飛ぶ教室

ドイツの寄宿学校を舞台に、5人の生徒と先生の深い心の結びつきを描いた小説。
作者のエーリヒ・ケストナーの自叙伝的小説とも言われている。

エーリヒ・ケストナー/作
高橋健二/訳
岩波書店 ¥1600
1933年発行

思春期にこの『飛ぶ教室』と出会うことができた子どもは幸せです。

ドイツの児童文学作家エーリヒ・ケストナーが『飛ぶ教室』を書いたのは、1933年。今から70年も前のことです。当時、ヒトラーが政権を握ったため、自由主義者で平和主義者のケストナーが書いた小説や詩集は、公衆の面前で焼かれ、著作の発表を禁じられたそうです。しかし、ケストナーの子供向けの著作だけは禁止されることなく、子ども達に読みつづけられました。

『飛ぶ教室』は、あるドイツの寄宿学校を舞台とする5人の少年の物語です。成績は学年の首席だけれどどんな激しい殴り合いにも必ず参加するマルチン、両親に捨てられ、船長に育てられている空想力豊かな詩人で作家のヨーニー、みんなから臆病者と思われ自身もそれを悩む貴族の息子ウリー、ウリーの親友で将来のボクシング世界チャンピオンを目指す勉強が苦手なマチアス、難しい本が好きで少々理屈っぽいセバスチアン。そして彼ら5人が心から信頼し愛する舎監の正義先生と廃車となった禁煙車両に住んでいる世捨て人の禁煙先生。これらの登場人物が、クリスマスが間近に迫る寄宿学校で様々な経験をし、成長していきます。

この『飛ぶ教室』全編を通じて流れるのは、友情・正義・勇気・愛そして信頼です。それは、現代社会が失いつつある全てと言ってもいいかもしれません。もしくは、子どもが大人へと成長するにつれて、様々な社会のしがらみの中で、ストレートに表現しにくくなっていくものと言った方が適切でしょうか。
本来なら正義・勇気・愛といった人間にとって大切な真理は、私達大人が子どもにしっかりと直接伝えてやりたいものです。しかし、現代社会の様々な条件がそれを困難にしていることは事実です。
けれども、思春期に『飛ぶ教室』と出会い、それを自分の本棚に並べ、大人になるまでの間に何度か取り出して読み返した子どもは、友達を大切に思う心、両親を愛する気持ち、正義をためらわずに行う大切さ、不運にあってもそれをまともに見つめ恐れず気を落とさずに人生を生きていく強さ、本当の勇気とかしこさ、それらを知らず知らず心の奥底に育むに違いありません。
子どもがいる家庭の本棚には、必ず『飛ぶ教室』が一冊並んでいて欲しいものだと思うのは私だけでしょうか?
 

蛇足となりますが、海外の作品は、それを翻訳する訳者に少なからぬ影響を受けます。エーリヒ・ケストナーの作品は、ぜひともドイツ文学者で文化功労者でもあられる高橋健二さんが訳された文章で読まれることをお薦めします。高橋健二さんは、ヘルマン・ヘッセなどの訳でも知られる方ですが、実際にヘッセやケストナーとの交流もあったそうです。折り目正しく清廉な高橋さんの文章は、名訳と言われ、ケストナーの作品世界を私達日本人に豊かに伝えてくれます。

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素材提供:「second home」